火
19
4月
2011
子どものころの思い出の本、について書きたいと思います。当ブログでもSFを取り上げる機会が多いと思いますが、ボクが小学生低学年のころ夢中になって読んだのが、偕成社から出ていた子ども向けSFシリーズと、きょう取り上げる岩崎書店の「SFこども図書館」でした。
1967年に刊行された「SFこども図書館」シリーズは、装丁がすばらしいのです。まずは表紙をご覧ください(画像はこちらから拝借しました。ありがとうございます)。
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真鍋博、長新太、伊坂芳太良、井上洋介、、、と、日本を代表するイラストレーターばかり。ボクは小学2~3年生のころ、彼らのイラストでSFの名作に導かれたのでした。ジュール・ベルヌの「地底探検」、H・G・ウェルズの「月世界探検」、コナン・ドイルの「恐竜の世界」(一般には「失われた世界」のほうが有名)、エドガー・ライス・バロウズの「火星の王女」、エドモンド・ハミルトンの「キャップテン・フューチャー」なんて、このSFこども図書館版でワクワクドキドキして、小学高学年から中学生にかけて今度はハヤカワ文庫や創元推理文庫で再読して(バロウズの「火星のプリンセス」は挿絵がとても魅力的)、高校生ぐらいからディックみたいな普通でないSFにそれてって、、、という読書遍歴でした。ともかくボクにとってSFの最初の道案内役といえば、このSFこども図書館シリーズだったのです。
でも、何度も何度も読み直した大事な本だったのに、親が転勤族だったこともあってか途中でなくしてしまい、気づいた時には古本屋で高値がつく稀覯本に。アマゾンやスーパー源氏で時折チェックしてますが、いつも入手困難なので、なくしてしまったのが本当に残念です。
このシリーズで個人的に一番好きなのが、リチャード・ホールデン作「光る雪の恐怖」でした。主人公は地元ニュースを追いかける新米新聞記者で、ケインフィールドという町だけが異常な吹雪になっていることと、数日前に行われた人口雨を降らす実験に何か因果関係があるのかも、と思って実験を行った化学者を訪ね、その化学者の娘と一緒に吹雪の町に出向くことになります。すると、そこで不思議な「事件」が相次いで起きていました。鶏小屋でニワトリがひからびてて、さらに一人暮らしの男性と犬が同じようにひからびて死んでいて、どうやら化学者が実験の時に混ぜた雪の結晶が原因だということが徐々にわかってくる、というミステリー風のSFです。子供心に、この「殺人雪」は怖かったなあ、と思います。
ほかのシリーズのヴェルヌやウェルズ、バロウズ、ハミルトンといったSF界の巨匠と違って、ホールデンという作家は有名ではないし、「光る雪の恐怖」も大人向けの翻訳は出ていません。そのこともあって「光る雪の恐怖」は特に印象に残っていたので、仕事の関係でアメリカに1年滞在した際、いろいろと古本を漁ったうちの一冊がこの原作「Snow Fury」でした。でも、ボクがアメリカで購入した本は1955年刊行という、本当の意味の古本で、一番新しい版でも1965年刊行だし、本国のアメリカでも有名な小説ではないようです。だとしたら、日本人が一番よく読んでいる作品かもしれませんね、それぐらい岩崎書店のSFこども図書館といったら、復刊リクエストにいつも名前が挙がる有名なシリーズなので。
ということで、小学生のころ、SFこども図書館シリーズで読み、30何年ぶりに原書で再読した本ですが、やっぱり英語だと細部は???なので、もう一度読みたいなあと思っていて、つい最近、思い余って買ってしまいました! 実はこのシリーズ、2004年に装丁を一新して「冒険ファンタジー名作選」というタイトルで再刊されているのです。
新装版「光る雪の恐怖」
でも、、、、くすんくすん。やっぱり装丁が違うと、ありがたみが全然ちがうんですよね。内容は一言一句同じはずなのに、装丁が違うと、どうしてこうも印象が異なるものなのでしょうか。
小学生向けの本ですから、1時間もしないで読めました。原書の印象と比べると、化学者の娘が原書ではもう少し年齢が上で、主人公の新聞記者と恋愛関係になるんですが、日本語のほうでは子供向けのせいか、主人公がその女性に恋心を募らせる場面とかカットされてるので、ああ、やっぱり子供向けだったのね、などと再発見しましたが、でも装丁がイマ風過ぎます! やっぱり井上洋介の装丁でないと、、、、。ということで、岩崎書店さん、やっぱりSFこども図書館は昔の装丁のままで復刻してください! ボクのような購買層が絶対にいると思うので、限定3000部とかでいいから、ぜひ復刻をお願いします!
おっと、このままでは英語がまったく出てきませんね。これを取り上げるのは、Snow Furyを読んだからでもあるので。で、岩崎書店版では割愛されている主人公Davidと化学者の娘Karenの恋愛感情あふれる場面、最後に掘っ立て小屋に殺人雪をおびき寄せて対決する直前に二人が言葉を交わす場面を原書からご紹介しましょう。
"Oh, daling, we are going to get out of here - aren't we? We aren't going to - die like Bailey and the others?"
He held her close to him. "No, Karen."
"It's bad though, isn't it, Dave? What Dad told you downstairs?"
"We'll be safe, Karen. I won't let anything happen to us."
"Will there ever be a world again after this where kids can make snowballs? Where..." Her voice was muffled as she pressed her face into his thick wool shirt.
"Yes, there will be, Karen. And for us, too."
"For us?"
"For us, Karen." He spoke, looking at the coals of the fire, holding her head against his chest still, and aware of the faint piney scent of her hair. "We haven't known each other very long. As a matter of fact we haven't yet even succeeded in having a complete lunch together. I don't suppose I even know much about myself and what I'm good for - except to write about small snowstorms and things for a weekly paper. But I want to find out what I'm good for, Karen, and I'm going to. And, wherever I go from here, I want you to go with me."
"That sounds like a proposal, Mr. Storm," she said without looking up.
"It does, sort of," he said. She raised her head and looked at him, her face only a few inches from his.
"I want to be with you too, David -- always."